もうずいぶん前から、日本では夏になると、熱中症が話題にのぼり、報道されます。きょう熱中症で何人亡くなったとか、どこそこで高齢者が熱中症で救急搬送されたが死亡確認されたとか、どこそこの催しで何人が熱中症で倒れたとか…。
その対策も、ネット、テレビ、新聞、ラジオでしょっちゅう見聞きしますね。つまり暑すぎるのが原因なので、体温を下げる工夫をしろといいます。そこでクーラーを必ず使え、扇風機を回せ、部屋の風通しをよくしろ、窓の外にはよしずなどで日よけしろ…。市役所や区役所の建物でゴーヤのツルを窓の外にはわせるのもここ数年のいわば風物詩になりました。
しかし私のこれまでの症状歴や「冷えとり健康法」の経験からすると、熱中症の原因は「冷え」です。つまりは血液の循環不全(循環障害)です。その原因は「高温」ではなく、体内温度の「差」です。
私たちの体は60兆個の細胞で成りたっていて、血液が全身をめぐってそれぞれの細胞から老廃物をうけとり、栄養分を供給して、その活動を支えています。ところが、体内の温度差が大きくなると、この血流がとどこおる。足元が冷えて頭のほうが熱いと、足元には冷たい血液がたまりがちになり、頭のほうにはあたたかい血液がのぼってたまりがちになるからです。血液が全身をスムースにめぐって細胞の面倒をみる、ということができなくなります。
そうすると、内蔵の機能障害から身体全体がイカレてしまう。もうダメだ、完全休養させなきゃ、となって倒れてしまう。ヒドイときには、死んでしまう。それが本質的原因でしょう。医学の専門知識がなくても理解できることです。
だからこそ、被害者には高齢者が多い。体内の温度差は、「体を冷やす生活習慣」かける「生きてきた年数」できまるからです。長く生きてきた人ほど、「冷え」がたまっていることが多いわけです。
そうだとすると、対策としてもっとも肝心なのは、体内の「温度差をなくす」ことであって、「冷やす」ことではありません。単にクーラーなどで「冷やす」だけなら、足元をさらに冷やして体内の温度差をひろげてしまいます。発症の可能性がいっそう高まってしまい、本末転倒です。
いまの日本の熱中症対策には、この観点にたった指導、注意喚起が不十分ではないでしょうか。それは致命傷です。
本質的な対策は、2つ考えられます。
1.下半身を温める(体内の上下の温度差対策)
半身浴をする、靴下を重ねばきする、ズボン下をはく(筆者は真夏でもはきます。ステテコではなく、綿100%の冬用です)。職場や電車内などクーラーの効いた空間に長時間いる場合には、ときにはレッグウォーマーやヒザ掛けも必要でしょう(筆者は電車で長時間移動するとき、真夏でも使います)。
2.冷たいものの飲み食いをひかえる(体内の内側と外側の温度差対策)
内臓を冷やせば、体表との温度差が生じます。胃のまわりには血管が集中しているので、冷たいものがここに入れば、冷やされた血液が全身をめぐるハメになります。氷入りのジュースやかき氷、キンキンに冷やしたビールなど、夏でも冷たいものばかりお腹に入れると、胃がげんなりして体全体がダルくなるのは、誰しも経験しているとおりです。
これと反対に、「とにかく体温を下げる工夫を」という認識、指導だと、たとえばクーラーをガンガン効かせさえすればいいとか、氷水に足をつけて冷やそうなどという発想にもつながりかねません。本人は立派な対策と思ってやっているのに、どちらも実は正反対に、体内の温度差をひろげて熱中症リスクを高め、キケンです。
私の祖母は無学でしたが、私の子供のころ、冬に半ズボン(これは学校の方針でした)でコンクリートや石のうえにお尻をつけて座っているのを見ると、すかさず「体を冷やすな」と戒めてくれたものです。日本はもともと庶民レベルで「頭寒足熱」の文化のしみわたった国、民族だったのです。
本質的な対策により、これからは熱中症で亡くなる人の数が、毎年夏を迎えるたびに減ってゆく日本でありますよう、祈ります。
熱中症対策で世界から尊敬される日本でありたいものです。
神さま、仏さま、今日の気づきを、ありがとうございます。
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