日本文化の源流は、古代からの日本人の世界観に求められるようです。その特徴は、「いのちの世界観」。日本のアニメやマンガが海外で人気なのは、この世界観に理由があると、私は考えます。もちろん製作技術の高さもあるでしょうが、もっとも深い理由は世界観だと思います。
キリスト教など一神教の世界では、まず強大な神の「意思」があって初めて、この世界が生まれたと説きます。その世界観のなかで生まれ育った人たちにとっては、世界は「意思」を主張してはじめて切り開けるものであり、人生は他者とぶつかりあうなかで自分を押し通して進むものです。
だから、欧米人には自己主張というものが欠かせない。それなしに、世界はありえない。それをしなければ、自分の人生は開けないのです。当然、力の強いものが弱いものを駆逐して生き残る社会になる。つまり「弱肉強食」の世界です。地球上の多くの国、とくに欧米諸国ではこの「弱肉強食」型が一般的ではないでしょうか。
それらとは異質なのが、日本です。日本神話では、我が国は神さま同士の「愛の営み」つまりは性行為から生まれたと説きます。つまり国そのものを「生きもの」としてとらえている。いわば「いのちの世界観」です。この世界観では、森羅万象に「いのち」をみいだします。身のまわりのすべてに生物の温もり、やわらかさ、やさしさを見いだします。日本人にとって、世界というのは「協調し、ゆずりあう」ものです。
そういう日本人の世界観が、日本人製作者によるアニメなどの作品ににじみでないと考える方が不自然です。『トトロ』にしても『ドラえもん』にしても、『アンパンマン』『ちびまるこちゃん』にしても、子供たちが、いや大人でさえ、抱きつきたくなるような柔らかさ、やさしさ、親しみ、温かみに満ちています。自然への愛情、家族、友達への思いやり、モノをいつくしむ心など、日本人独特のあたたかさを感じずにいられません。さらには利他心、正直、誠実など、人としての理想像が、ほんのちょっとした暮らしのなかのできごとに垣間見られます。
そうした価値を、世界中の無垢な子供たちや若年層が民族をこえて敏感に感じとり、日本アニメ、マンガに熱狂している。そういうことだと、思います。
世界観(宇宙観)は、それがなくては人間が生きていけない、人間にとって最も重要なものです。私自身は、この日本の世界観のなかに生まれ育ったことを誇りに思います。
そして、その日本人にも「光」と「闇」があります。それを伝えることを自分の仕事にできれば、と考えています。
神さま、仏さま、今日の気づきを、ありがとうございます。
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