「その節は、お世話になりました」

 日本人は、久しぶりに再会した人によく、「その節はお世話になりました」とか、「先日はありがとうございました」などとごあいさつすることがあります。つまり、あることを相手と共有して、それがもう過ぎたあとも再会した相手とそれを話題にします。

 会社やなにかの集まりでの食事会のあとは、「ゆうべは、おいしかったねえ」とか、「あのあとはこんなふうにして家まで帰って…」など、後日になってもその食事会をめぐる話題で仲間同士が盛りあがる、ひとしきり話がはずむ、ということがめずらしくありません。

 これが日本人独特であり、外国にはない「文化」だと気づき始めたのは、20代なかばころでしょうか。

 これの理由は、日本人が人さまを大事に思う気持ちの表れなんだと、いま思います。日本人は他人さまを尊重する。その気持ちが、「あのあと別れたあとも、いま再会するまで、あなたのことをこんなふうに思っていました。そのこころをお伝えしますよ」という、実は深い心の交流の意味あいがあるのだと、考えます。
 
 人の家で食事をごちそうになったときなどは、「先日はごちそうさまでした」とごあいさつします。日本人が相手を思う深さ、自然さを理解しない外国人は、この人はまた食事を期待しているのかと勘違いするかもしれません。実際には、あなたというガイジンさんのことをこれだけ気づかっていますよという、日本人のさりげない表明なのです。

 日本古来の文化、風習には、人を思いやる深くてやさしいものがたくさんあります。アニメやマンガにそうした一面がにじみでるからこそ、世界じゅうの少年少女が魅了されるのだと思います。

 神さま、仏さま、今日の気づきを、ありがとうございます。

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